黒より暗い白
□7匹目
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「どうぞー」
鍵を開け、部屋へと入っていく黄瀬の後に続く。
「お邪魔します」
促されるまま、ソファーに座った。
「……えっと……」
「何か作ってもいいですか?」
とは言っても、もう夕食というような時間ではないが。
「……え」
「一宿のお礼です」
そう微笑めば黄瀬の瞳が輝く。
「本当っスか!?」
立ち上がり、キッチンスペースへ向かった。
「冷凍庫のもの使ってもいいですか?」
「は、はいっス」
「ご馳走さまでした!」
「はい」
簡単なものだったが美味しそうに食べてもらえて思わず笑顔になる。
「瑚白っち、料理出来るんスね」
食器を片付けながら黄瀬が感心したように言った。
「両親が家空けること多いんで」
物心ついた頃には料理はほぼ自分の担当になっていた気がする。
「……もしかして今日も?」
察したように尋ねてくる黄瀬の言葉にコクりと頷いた。
「はい」
「そうっスか……」
少し寂しそうに笑う黄瀬に対し、首を傾げた。
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