猫life

□【おまけ】その選択は……
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《……やっぱりダメです》

「…………」

子供の姿をした魔法使いは悲しそうな顔でこちらを見る。

《先輩方の記憶と私の記憶を消してくださいませんか?》

そう願えば魔法使いは困ったような顔をする。

「……そうか……」

《ダメ、ですか?》

「……いいよ」

目を瞑って諦めたように魔法使いが言った。

《ありがとうございます……》

素直に笑えている気がする。









――これでいい









「……彼女は――」

《言わないで!》

魔法使いの言葉を慌てて止める。

「…………」

何故? そう問われている気がした。

《……先輩達はきっと嫌がるから……》









――最後に見る顔は笑顔がいい――









そんな私のわがままの気持ち。

「……」

魔法使いは困ったように笑う。

「君達の彼女に対する【おもい】を思い出してくれないかな?」

「思い出す?」

「目を閉じてココロに思うだけでいい。その【おもい】で彼女を……――ヒトに変える」

魔法使いは嘘をついた。

その言葉を信じた先輩四人は瞳を閉じる。

「ほら、君もだよ……」

瞳を閉じて先輩達のことを思う。










楽しかった

大好きだった

ずっと【先輩】でいてほしかった

それが叶わない願いだとしても……











「それでいい……――」

目を閉じていたのに目の前が一瞬眩しくなった。











「――さようなら……先輩方――」










一筋の涙が子猫の頬を伝った。
















「あー……。なんでまた、動物企画なんだよ」

灰色の髪の青年がため息をつく。

「いいじゃんっ。可愛いし!」

対極して茶髪の青年の声音は明るい。

「前の時はけっきょくサオトメに借りたんだよね」

ミント色の髪をした少年は思い出したように言った。

「そうだったな」

クリーム色の髪色の青年はあまり興味がなそうに言う。

「今回は自分達で――」

「にゃーん」

「にゃーんと探さないとねっ。……って、あれ?」

彼等の足元には1匹の子猫。

「にゃー」

「子猫ちゃんだねっ」

しゃがみ込んだ茶髪の青年が笑顔でこちらを見る。

「猫だな」

腕を組んでこちらを見る灰色の髪の青年。

「猫……ふぅん……小さいね」

中腰でこちらを興味深そうに見るのはミント色の髪をした少年。

「なるほどな。小さく無力そうなものだ」

クリーム色の髪色の青年は目を細めてそう言う。

「人懐っこいね。迷子の子猫ちゃんかな?」

「にゃー?」

「ふふっ。わんわんっ。なんてね」

茶髪の青年は楽しそうに笑う。

「……こいつでいいんじゃねーか?」

灰色の髪の青年の言葉に残りの三人が頷く。

「……おいで」

ミント色の髪をした少年が手を差し出してきた。

「にゃー」

「ぼく達に協力してくれる? 子猫ちゃん」

抱き抱えられた子猫に茶髪の青年がそう尋ねる。

「にゃー」

元気よく鳴いた子猫に四人は微笑んだ。














end.

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