猫life

□第18話
1ページ/4ページ



藍に連れてこられたのは早乙女学園のレコーディングルーム。

「本当に大丈夫?」

嶺二が心配そうに尋ねた。

「つまりは彼女に歌を聴かせればいいってことでしょ?」

「そんな簡単なことなのかよ」

蘭丸の表情は険しい。

藍が力強くこくりと頷く。

しかし、すぐに目線を下げてしまった。

「……ココロを込めて歌うっていうのがよくわからないんだけど……」

自信が無さそうな藍に嶺二が笑顔で言う。

「ナナシちゃんを戻したい、助けたいって気持ちを込めればいいんだよ、アイアイ」

「……やってみる」

「つーか、最初、殴られたとか言ってなかったか?」

蘭丸がこちらを見る。

《うっ》

[それは猫に戻ったことを私が勝手に良いように解釈したせいだと言われました]

恐る恐るそう打ち込む。

「記憶違い、ということか」

カミュの言葉に頷いた。

[そんな感じです。すみません]

「謝ることはねぇだろーが」

蘭丸に頭を撫でられる。

ありがとうございます、そう思いながら鳴いた。

「よしっ。じゃあ何歌おうか?」

嶺二がパンっと手を叩く。

「おい」

蘭丸に声をかけられた。

「?」

「おまえ、昔もおれ達の歌をどっかで聴いてたんだよな」

こくりと頷く。

「どんな歌だったか覚えてるか?」

「……なるほどな」

理解したのかカミュが頷いた。

「?」

「彼女がぼく等を知った時と同じ歌を歌うってことだね」

不思議そうな藍の肩に手を置きながら嶺二が言う。

「……」

すぐさま嶺二の手を振り払った藍の表情はまだ険しい。

[そうすれば私の心に響きやすいのではないかという先輩方の考えですね。私もそうすれば変われる気がします!]

そう打ち込むと藍が微笑んだ。

「ん。なら頑張る」

「どんな歌だったかな?」

嶺二が笑顔で尋ねてくる。

「えっと――」









.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ