猫life

□第16話
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《先輩達と【いきたい】、です》

「……そう」

子供の姿をした魔法使いは少し嬉しそうに笑った。

そして先輩達に向き直る。

「彼女は君達と【いきる】ことを選んだ。次は君達の番だ」

にこりと笑った魔法使いは子供の姿に相応しい笑顔だった。

「彼女を……ヒトにしたいかい?」

魔法使いの言葉に四人の先輩は一斉に頷く。

「当たり前だよっ」
「当然だろ」
「もちろん」
「ああ」

そんな様子を見て又もや魔法使いは嬉しそうに笑った。

「それじゃあ、彼女に君達の【ココロ】をあげて」

笑ったままの魔法使いは何事でもないようにそう言った。

しかし、先輩達はポカンとする。

「「「「……は?」」」」

「【ココロ】をあげることで彼女はヒトの姿になれる」

魔法使いは笑顔のまま、パチンと指を鳴らした。

「君に最高の祝福があらんことを――」

段々と薄れていく魔法使いの姿に先輩達が慌てる。

「ちょ!?」

「勝手に消えてくな!」

蘭丸の文句が言い終わったところで魔法使いは完全に見えなくなる。

「……居なくなったけど」

「……どうするか」

藍の腕に抱かれたままの先輩達に見つめられる。

《……何か、すみません……》

ペコリと頭を下げると四人に笑われた。

「おかえりなさいっ」
「ったく、手間かけさせやがって」
「おかえり」
「……よく戻ったな」



――ああ。戻ってこれたんだ。



そう実感して私も笑った。










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