猫life
□第15話
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《はぁ……はぁ……》
子猫の足ではたいした距離は走れない。
近くの公園に入り、ベンチの下に潜る。
《逃げちゃった……》
これでよかったんだと思う自分と、近くに行きたかった自分との正反対の気持ち。
《苦しい……》
俯いても涙は流れない。
泣きたいのに涙が出ない。
もどかしくツラい。
《……》
「子猫ちゃん?」
「!!?」
ビックリして顔をあげるとにこやかに笑う嶺二と目があった。
「ったく……面倒かけやがって」
「ここにいたのか」
蘭丸、カミュもしゃがみ込み、こちらを見る。
「出ておいで」
しゃがんだ藍が両手を差し出す。
《……私は……》
行くことは出来ない――
逃げ出そうとしたときだった。
「まだ逃げるの?」
《!!》
声と共にこちらに向かってくる誰かの足が見えた。
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