猫life
□第10話
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《何か、藍先輩の家、生活感があんまりないな……》
招き入れられた藍の部屋はまるでどこかの事務所のように綺麗に片付いている。
他の先輩、嶺二、蘭丸、カミュの部屋も綺麗ではあったが藍の部屋はどこを歩いてみても塵1つなさそうだ。
いや、断じて他の先輩の部屋に塵が落ちていたと言う意味ではないが……。
《……元に戻ったら私の部屋も掃除しよう……》
そう決意してから、藍の元へ行く。
「……」
先程から藍はずっと1冊の冊子を読んでいた。
《……先輩さっきから真剣に何読んでるんだろう……?》
手書きでホチキスで留めてあるのを見るからに誰かの手作りだろうか。
《えっと……》
手書きの文字を読む。
【ナナシちゃん完全マニュアル! これできみも子猫になったあの子を完璧にもてなせる! ……かも?】
《マニュアル化されてる!?》
文面から見て確実に嶺二だろう。
「ん?」
「!」
藍が顔をあげてこちらを見る。
「ああ。ごめん。どうかした?」
慌てて首を横に振った。
「そう?」
不思議そうに首を傾げた後、藍は読書に戻ろうとする。
「に、にゃー?」
「?」
慌てて藍を引き留めると藍が目の前にタブレット端末を置いてくれた。
ちなみに嶺二のではなく、藍個人の持ち物だ。
《ええと……》
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