灰色days

□ 第7話【化粧と年齢】
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「改めまして、宮条ことりです。さっきはごめんね」

那月とセシルに改めて謝る。

「いえ、気にしないでください」

「ハイ。元気でよかったです」

那月もセシルも笑顔で言ってくれた。

「ありがとう」

釣られて笑顔になっていると控えめに話しかけてくる声がした。

「あの……もしかして……」

その声に振り返ると金髪の少年が自信無さそうに首を傾げていた。

彼の言いたいことは聞かなくてもわかった。

「うん! 【アクセサリーショップの店員】です! 翔くん!」

にこりと笑顔で言うと翔は納得したように笑った。

「だよねっ!? 何かいつもと違うから別人かと思った。つーか、音也達と知り合いだったんだ?」

「うん。アクセの注文してくれたのっ!」

笑顔で頷くと翔はポケットからネックレスを取り出した。

「もしかして、これの?」

翔が取り出したのはヒヨコのデザインのアクセサリーだった。

「えっ。う、うん」

「やっぱり? 何か、お姉さんのデザインっぽかったからさ、もしかしてと思った」

嬉しそうに笑う翔と対照的に首を傾げた。

「11人分、大変だったでしょ? ことりん」

嶺二が隣に来て言った。

首元にはリスがデザインされたネックレスがついている。

「もしかして、皆つけてくれてるの?」

周りを見渡すと皆、笑顔で頷く。

「本当にありがと! 皆でお揃い着けられたのは、先輩のお陰だよっ」

「ええ。……無茶ぶりでしたが、素晴らしいものをありがとうございました」

音也とトキヤが笑顔で礼を述べる。

「ああ。まさか、皆で揃いの物を着けるとは思いもしなかった」

「あのときのレディの手作りとは思わなかったよ。素敵な物をどうもありがとう」

真斗とレンも微笑みながら言った。

「とっても可愛いクマさんで、僕のお気に入りです」

「お姉さんのアクセは丁寧だし、こだわってるし、これも大切にするよ!」

「ハイ。ワタシも大切にします」

那月、翔、セシルが嬉しそうに笑う。

「ぼくがリスかぁ〜。やっぱり、可愛い小動物だよねぇ〜、ぼくって!」

笑顔の嶺二に藍が冷静に言った。

「……レイジにはタヌキがピッタリだと思うけど?」

「またまた〜、そんなこと言ってぇ! 全く……。でも、アイアイだって気に入ったでしょ?」

「……まぁね」

プイッと横を向く藍を見て思わず笑ってしまう。

「確かに悪くはないな」

カミュも満足そうに言う。

「…………」

わざと視線を反らした蘭丸に負けじと蘭丸を見つめる。

「…………チッ」

気まずそうにし、舌打ちをした蘭丸につっこむ。

「今、舌打ちしましたね!?」

「……だったらなんだよ」

「感想は? ないんですかっ!? 黒崎先輩! 後輩ちゃん達を含め、藍ちゃん、ミューくんは、かっわいらしい感想くれたのに!」

「ことりん? れいちゃんの名前、抜けてるよー?」

自己アピールする嶺二の後から戸惑うような声がした。

「……先輩? つーか、藍【ちゃん】?」

「レディはアイミー達とも知り合いなのかい?」

「ミュー……くんというのは……」

唖然とする翔、レン、セシル、真斗、那月に藍がため息まじりに言った。

「コトリは早乙女学園のOG、ボク達の後輩でキミ達の先輩。ちなみにカミュと同い年だよ」

藍の言葉に五人が唖然とした。

「せ、先輩!?」

「歳上の方だったのですかっ!?」

「同い年……ビックリです……」

五人の様子に苦笑いをした。

「……私って……二十歳に見えない? ミューくん」

「知らん。俺に聞くな」

面倒くさそうなカミュに代わり、藍が聞いてきた。

「……でも今日はいつにも増して幼く見えるけど、何で?」

「え? そうかな……?」

自分の格好を見直すが良くわからなかった。

「確かに、いつものことりんより、若く見えるね〜。高1です! って言ってもいけそう!」

「えぇ!? 嬉しくないよ! れいちゃん先輩!」

首を傾げる面々の中、蘭丸が小さな声で言った。

「…………化粧だろ」

「え?」

目を丸くし、蘭丸を見ると、嶺二と藍が首を傾げた。

「ことりん、今日、化粧してるの? 普通、化粧したら大人っぽく見えるけど……」

「……コトリ、いつもメイクしてないわけ?」

「え? だって面倒くさ――」

そこまで言って言葉を止める。

「…………」

藍に眉をひそめて見られていた。

「い、いいじゃない! 個人の自由でしょ!? 人権だよ!」

「意味がわからないよ」

ため息をつく藍に頬を膨らませていると蘭丸に何かを差し出された。

「……何これ? メイク落とし?」

「似合ってねぇ。落としてこい」

「そうだね、落ち着かない」

「本番前に迷惑な奴だな」

「酷い!? それが女の子に対する物言いですか!? 覚えてなさい! 三人とも!」

蘭丸からメイク用クレンジングを受け取り、部屋を出る。

「……素直に化粧、落としに行くんだね」

嶺二が苦笑いをしているような気がしたが構わず出ていった。







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