灰色days

□ 第6話【招待と迷子】
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「おはようございまーす」

朝早く、嶺二達の寮を訪ねた。

「あ! ことり先輩!」
「おはようございます、宮条さん」

部屋に入ると後輩達が笑顔で迎えてくれる。

「おはよう、音くん、トキくん」

二人に笑顔で挨拶をして辺りを見回す。

《男の子だけなのに、私の部屋より綺麗……!?》

「ん? ことり先輩、どうかしたの?」

音也が心配そうに眉をへの字にした。

「い、いや!? べ、別にっ!?」

慌てて首を振るとトキヤに苦笑いをされた。

「……声が裏返っていますが……大丈夫ですか?」

「ほ、ホントに何でもないから。……って、れいちゃん先輩、居ないんだ?」

多少不思議に思い、尋ねる。

「はい。【実家の手伝い】だそうで、昨日の夜から留守ですよ」

「あー。なるほど」

「ことり先輩は、れいちゃんに何か用事?」

「ううん。私が用があったのは二人だよっ」

「私達に、ですか?」

不思議そうに顔を合わせる音也とトキヤに持ってきたバッグから箱を取り出し、渡す。

「これは……」

「もう出来たんだ!?」

箱を開けた音也が目を輝かせてこちらを見た。

「気に入ってもらえたかな?」

笑顔でそう聞くと音也とトキヤも笑顔で頷いてくれる。

「うん! ありがとう! ことり先輩!」

「ありがとうございます。宮条さん」

「ふふっ。よかった」

彼等に渡したのは依頼されていたアクセサリー達。

多少大変だったが、嶺二にデザインを渡してからすぐに【OK】という返事が来たので数日で作り上げた。

《お陰さまで、ほぼ寝てないけどね》

彼等の笑顔が見れ、疲れは飛んだが眠気はまだある。

《帰って少し寝ようかな》

幸運なことに今日は1日オフだ。

二人に別れの挨拶をしようと口を開こうとしたときだった。

「あ! ことり先輩、これよかったら」

音也が一枚のチケットを差し出す。

チケットには、【シャイニング事務所 スペシャルミニライブ】と書いてあった。

「ライブチケット?」

「うん! 俺達、これに参加するんだ。よかったら、ことり先輩も来てよ」

「ありがとう! 絶対行くね!」

その言葉を聞いて音也もトキヤも嬉しそうに笑った。







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