灰色days
□第5話【夢と現実】
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「……で、デザインが、ない!」
寮に戻った時にようやく気がついた。
《置いてきちゃったんだ!》
慌てて取りに行こうとした時だ。
――♪〜♪〜♪
携帯の着信音が鳴った。
画面には【寿嶺二】と表示されている。
「は、はい」
〈あ。ことりん? れいちゃんだよー☆〉
電話から元気な声がしてきた。
「れいちゃん先輩。どうかしましたか?」
〈ふふーん。ことりん、デザイン画、忘れていったでしょっ?〉
「は、はい! もしかして、れいちゃん先輩――」
〈うん! ランランが届けてくれるって! レコーディングが終わり次第だろうから少し遅くなっちゃうかもだけどねっ!〉
「…………え?」
〈あ! 収録始まっちゃうからもう切るねー。じゃあね、ことりん!〉
電話から通話終了を告げる機械音がする。
「…………えええ!?」
《く、黒崎先輩が来る!?》
まず、慌てて姿見鏡で自身を確認する。
《へ、変じゃないかなっ!?》
少し緊張しながらも蘭丸が来るのを待った。
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