灰色days
□第4話【帰宅とデザイン】
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「今日はごちそうさまでした! 黒崎先輩」
皿を洗い終え、お茶を入れた。
「……つーか、おまえが作ったんだろーが」
「でも、食材は先輩達のですから。やっぱり、ごちそうさまです」
「……そうかよ」
笑顔で礼を述べると蘭丸は、ふいっと目を反らしてしまった。
蘭丸の前に正座をして再びトライしてみる。
「ところで、黒崎先輩、私の曲を――」
「歌わねーよ! しつけぇ! 帰れ!」
即答された。
「か、帰れだなんてひどいです! 送って行くくらい言ってくださいよっ」
「何でおれがおまえを送って行かなきゃならねぇんだよ」
蘭丸は面倒くさそうに頭をかく。
「だって、私も一応女子ですし!」
そう誓言すると蘭丸が意地悪そうに笑った。
「おまえなら大丈夫だろ」
「ひどいです!」
不意に蘭丸が立ち上がり、上着を手に取る。
「……? 出かけるんですか?」
「……送ってけつったのはおまえだろ。……行くぞ」
急ぎ足で出て行ってしまった蘭丸を慌てて追いかけた。
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