詩ノ葉
□04
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「わぁ……」
目の前にそびえ立つビルを見上げる。
「そんな口開けてバカみたいだよ」
少し前を歩くナギが呆れた顔で見ていた。
「ハッ!」
「置いてくよ」
ナギが歩き出す。
「ちょ、ちょっと待って!」
慌てて後を追いかけた。
「……ねぇ、ホントに来ちゃってよかったのかな?」
廊下を歩きながらショルダーバッグの肩紐を両手で握り、尋ねる。
「いいって言ったから来てるんでしょ」
斜め前を歩くナギは目を瞑ると呆れたように言った。
「そ、そうだよね」
キョロキョロと周りを見回しながらナギの後ろをついていく。
「……ぷっ……ぁははっ」
突然ナギが笑い出した。
「な、何で笑うのっ!?」
「ただのレコーディングなのに緊張しすぎなんだけど」
笑いを堪えるようなナギに頬を膨らませて反論する。
「緊張するよ! 初めてだもん……」
「ふぅん」
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