迷子の黒鼠

□居場所
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たくさんの店でごちゃごちゃとしている路地をネズミ、美蕾の二人は進んでいた。

「ちょっと待って!」

ネズミの早足に何とかついて行っている美蕾は前を行く彼に言った。

ネズミは後ろを振り返り、無表情のまま美蕾を待つ。

「遅い」

ようやく追いつくとネズミが言った。

「遅いって……貴方が早過ぎるのよ!」

「ちゃんとついて来いよ。迷子になったって誰も助けちゃくれないからな」

冷たくそう言い放ちネズミは再び歩き出した。

「……意地悪……」

小さく毒づき、ネズミの後に続く。

てっきり、また早足で先に行かれると思っていたがネズミはこちらの歩調に合わせるように歩いてくれた。

《意外に優しい?》

「……早く歩けよ」

後ろを振り向き、眉をひそめながらネズミが言った。

《……前言撤回……》

小さくため息をついた。







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