雪桜

□食
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いつの間にか夜が明けて朝日が昇りはじめたのか、外が明るい。

「あ。朝」

「そうだな」

「楽しかった。ありがと、斎藤さん」

「……ああ」

「雛白さん、起きてますか?」

襖の向こうから千鶴の声がした。

「うん。起きてるよ、どうぞ」

返事を聞き、千鶴が襖を開ける。

「……あ。斎藤さん」

襖を開けた千鶴が驚いたような顔をした。

「話し相手になってもらってたんだ」

《まぁ、私が一方的に話してたようなものだけど……》

何となく苦笑いしてしまう。

「そうなんですか」

千鶴が不思議そうに首を傾げた。

「それで? どうしたの」

「あ、はい。朝ご飯が出来たので呼びに来たんです」

「朝ご飯……?」

「はい」

「えっと要らないかな……」

「え……?」

雛白の答えに千鶴は目を丸くする。

「お腹空いてないし……」

「でも……」

「……とりあえず、皆の所へ行こう。早く行かないと新八たちが怒るからな。それに食欲が湧くかも知れん」

二人のやり取りを見ていた斎藤が冷静に言った。

「うーん……湧く気は全然しないけど待たせるのは悪い気がするし、とりあえず行こうかな」

「は、はい」

三人は部屋を出て行った。





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