雪桜
□住
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「見送りなんてよかったのに」
困ったように笑う雛白に千鶴も笑顔で答える。
「いえ……何だか、すいませんでした」
頭を下げる千鶴に頭を横に振った。
「謝られるようなことは何もされてないよ」
優しく微笑む雛白に苦笑いをする。
「でも……本当に行くのですか?」
千鶴が心配そうにこちらを見た。
「うん。ゆっくりしてる暇もないし……でも、今日一日くらいは京に居るよ。早めに発つけどね」
その前にこれを返しに来るよ、と言うと雛白はにっこりと笑う。
「それじゃあ、また明日、会えますね」
千鶴が嬉しそうに笑った。
「そうだね。じゃあまた明日ね」
笑顔で千鶴と別れ、服屋と宿屋を探しはじめた。
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