黒より暗い白
□6匹目
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「瑚白っち!」
最近よく聞く声。
「……黄瀬くんですか」
顔を上げれば笑顔を浮かべる男子生徒。
思わず視線を反らした。
「今日も荷物大変そうっスね。手伝うっスよ」
「……いえ、結構です」
黄瀬の横を段ボールを抱えたまま通り過ぎる。
「何で!?」
隣に並んで歩いてきた。
「黄瀬くんと一緒にいると嫌でも目立ってしまうじゃないですか」
最近、黄瀬といると男女問わず、特に女子だが視線を感じるようになり、少し居心地が悪い。
「……目立つの嫌いなんスか?」
「はい。出来るだけ目立たず、ひっそりと生きていくのが目標です」
「面白いっスね」
全く気にしていない彼の笑顔。
「そうですか?」
皆そういうものではないのだろうかと、首を傾げた。
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