黒より暗い白

□4匹目
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「実習、来――」

「煩い」

「――ィッタ!」

沢野の頭をバシッと岬が叩く。

「岬っちは相変わらずっスね」

思わず苦笑いをした。

「俺達は7班だ」

先程先生から貰った紙を見て岬が言う。

「来た順で決まるんだな」

沢野の言葉に岬が顔を上げて疲れたような顔をする。

「遅刻してくればよかったのに」

「何で俺達の方見んだよ!?」

沢野のツッコミを聞きながら7班のテーブルを見た。

「……あ」

見知った顔がいて思わず声をあげると目の合った相手の顔色が曇る。

「和心っちじゃないっスか」

にやけ顔で近づくと彼女の顔がどんどん悪くなっていく。

「黄瀬の知り合いか?」

沢野が興味津々に尋ねた。

「バスケ部のマネっスよ」

「い、一応ですが!」

何故か力を入れてそう答える。

「今日は……一人なんスか?」

「え? えっと……瑚白が――」

「あ」

歩いてきた瑚白が固まった。

「お前か」

岬が瑚白を一瞥する。

「はあ。よろしく」

「……ああ」

少し気まずそうな二人に沢野が話題を変えるように口を開いた。

「初対面だよな? 二人とも」

「そうですか。えっと……黒根瑚白です」

「竹下和心です」

ぺこりと瑚白が頭を下げると釣られて和心も頭を下げる。

「黒根と竹下だな。俺は沢野直人、よろしく」

沢野が笑顔で言う。

「はあ、まぁ」

「うん。よろしく!」

やる気の無さそうな瑚白に対し、和心は笑顔で頷いた。

続いて和心が岬を見ると岬がため息をついて口を開く。

「……岬蓮」

「よろしくね!」

和心が笑いかける。

「瑚白、材料貰いにいこっ」

「そうですね」

女子二人が材料を貰いに行く後ろ姿を眺める黄瀬を見て岬がため息をついた。

「……なるほどな」

「……な、何スか?」

「いや」

岬が目を反らす。

「とりあえず、頑張ろーな!」

沢野が笑顔で言った。




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