詩ノ葉
□04
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「えっと、帝くんここは……」
ポカンとして辺りを見回す。
「見てわかんない?」
変装なのか帽子を被り、眼鏡をかけたナギが隣でパンフレットを広げる。
「ゆ、遊園地の様ですが……」
チケットを渡され、連れていかれるがままに中に入った。
まだ混乱したままなので挙動不審になってしまう。
するとパンフレットを閉じたナギが「言っておくけど」と口を開いた。
「せっかくこっちまで来てそのまま帰るんじゃ悔しいから来ただけだからね」
早口にナギがそう言う。
「う、うん! 楽しもうね!」
混乱したままだが笑顔で頷く。
「……ふんっ」
ナギが鼻で笑って歩き出した。
「何でのっけからお化け屋敷っ!?」
真っ青になりながら恐ろしげな建物を見上げた。
その隣で頭の後ろで手を組むナギが目を瞑りながら口を開く。
「奢ってあげたんだからワガママ言わないでよ」
「うぅ……」
ぎゅっと肩紐を握った。
「ほら、次だよ」
スタッフに案内され、ナギが中へ入って行ってしまう。
「! 待って!」
急いでナギの背中を追いかけた。
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