灰色days

□第13話【好きと照れ】
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「――と、いうことで。そろそろお開きにしよっか?」

もう少しで日付が変わるというときに嶺二が提案する。

「そうですね。明日も朝から仕事のある方々もいますし、何より、主役の宮条さんは退院直後ですからね」

トキヤが言うと皆頷き、それぞれ身の回りの物を片し始めた。

「ことりんは帰る?」

「いえ。私も片付けを手伝います」

立ち上がると全員に止められる。

「今日はことり先輩の退院祝いなんだから」

「そうだよ。お姉さんは何もやんなくていいって」

音也と翔が笑顔で言った。

「……っていうか早く帰りなよ。退院したばかりでしょ」

藍が呆れ顔でため息をついた。

「また、倒れられては迷惑だからな」

カミュが、ふんっと鼻で笑う。

「またまた〜。そんなこと言って〜。二人とも、ことりんが心配なんでしょっ?」

嶺二の言葉に二人が顔を背けた。

「そんな訳ないでしょ」
「そんなことはない」

少し照れくさそうな二人の様子に思わず微笑んでしまう。

「ありがとう。じゃあ、今日はもう帰るね」

お疲れ様ー、と言って部屋を後にする。

「……」

「……」

「……」

「……何だよ」

嶺二、藍、カミュの無言の視線を受け、蘭丸が三人を睨む。

「……何だよ、じゃないよっ! 早く、ことりん送ってきてっ!」

嶺二に無理矢理立たせられ、背中を押された。

「おい! 押すな!」

「ほら。上着」

藍が上着を押し付け、カミュがドアを開ける。

「送り届けるまで戻ってくるな」

バタンッとドアが閉められた。

「……チッ……ったく」

上着を羽織り、ことりを追いかけた。







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