GEHS

□夕焼け
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「…また…一緒に帰れなかった…」
うなだれている紫音がこっちに気付く

「…兄さん、見てた?」
「まぁね」
クスクスと笑う李空に気まずそうに紫苑が頭をかく
「俺、駄目な奴だよな…」
「いや頑張ってると僕は思うけどなぁ、ほら」
李空の指差す方を見ると
先程帰ったはずの魅亜がこちらに走って来た

「ぇ、魅亜どうしたんだ?忘れ物か?」
「あのね、しぃ兄の仕事手伝えないかなって思って…」
照れながら頬を掻く
「…迷惑…だったかな…?」
「ぁ…、じ、実は仕事はもう終わったんだ…」
「そっか…なら、一緒に帰ろう?」
「ぇ!?ぁ、うん」
紫苑が嬉しそうに魅亜に駆け寄る
「りーくんも一緒に帰る?」
「いや、僕はまだ描きたいものがあるから残るよ」
キャンパスを指差して李空が苦笑いする
「そっか、じゃあ先に帰るね」
「うん、気をつけてね」

先程より沈んだ夕日に伸びる2人の影
手で枠を作り一枚の絵のように見つめる
暗くなり、空が紅と紫の綺麗なグラデーションを作る
「やっぱり絵になるなぁ…」
2人を李空が小さく笑うと再びキャンパスに筆を入れ始めた



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