従属官に成りました

□first impression
1ページ/1ページ

 

「よく似合っているよカルラ」


「あ…有難う御座います」




お世辞だと分かってても照れるもんは照れる。そもそもこんなイケメンに誉められた事無いからね。


あの後藍染さんに手を引かれ虚夜宮に連れて来られた。
そこで初めて自分が破面になっていた事を知って驚いた。確かに頭に何かくっついてるなとは思ってたけど鏡なんて持ってないからね。


ボロ布みたいな服からみんなが着ているようなあの真っ白な服を貰って鏡を見たときは驚いた。


取り敢えず「誰だよ」ってのが素直な感想。



まず髪の毛。何でそんなプラチナカラー。ギンよりも銀髪って言葉がよく似合う。しかも長さが膝ぐらいまであるし。……癖っ毛のままだったのは残念だった。

白い服を着てしまったから正に真っ白。…食べ物零した瞬間にバレるな、なんて思ったのは秘密だ。


次に目。普通に黒だった筈の目が真紅に染まってた。


差し詰め兎さんて感じだよね。




「何や子兎みたいになったなぁ」



 
ちょ、気が合うねギン!
私も今そう思ってた所だよ。


そんな感動を噛み締めている私に藍染さんが手招きをする。
それに素直に従って走り寄れば何故か笑われた。
いや、アンタが呼んだんじゃないか。…まぁ普通に警戒心も無く近寄った私も私だけどさ。
近付いてからヤバい奴だったよコイツって思ったけど頭より先に体が動くタイプだから仕方無いよ、うん。


藍染さんの手がゆっくり私の頭を撫でる。気持ち良くて眠くなるぜ。




「藍染様、その者は如何致しますか?」




ファンキーな見た目してる割に真面目な東仙が藍染さんに声を掛けた。因みにギンと藍染さんに気を取られてて途中まで空気になってた東仙。
何かごめん。




「特に考えてへんのやったら僕に下さいよ、その子」




マジか!?私ギンだったら何処へでも着いてくよ!だって大好きだし!




「いや、十刃の誰かの従属官にしようかと思ってるんだが…」

「あの子等ですか?」

「少々荷が重いのでは…」

「そうか?カルラはどうだ?」



 
どうだと言われても。




「十刃って何ですか?」

「あぁ、そうか。まだ君は知らなかったね」




ぶっちゃけ知ってるけどね。大好き過ぎて友達にもドン引きされたぐらいだから。
ただ知ってるのがバレたらもうどうなるか…。
無知な振りしてた方が楽だ。
まぁ、騙しきれるかは別として…。




「十刃言うんわ君と同じ破面の中でも力の強い奴らの事や」

「数が小さければ小さい程、より力があると言うわけだ」


「その専属の部下が従属官と呼ばれる破面だ。数も様々でね、いない者もいる」




そう説明しながらも藍染さんは私の頭を撫でる。
そんなに丁度良い位置にあるんだろうか。
しかしまーゆっくり優しく撫でられるものだから眠くなる。














「スー…」


「何や寝てしまったんやね。ホンマに子供やな」

「余程藍染様の側が安心出来たのだろう」




そう藍染の膝に頭を寄せ寝てしまったカルラに各々言葉を漏らす。当の藍染は膝で眠るカルラの髪を掬っては指通りを楽しんでいた。プラチナカラーの髪がキラキラと舞い落ちる。



 
「要、ウルキオラを呼んでくれるか?」

「ウルキオラ?ですか」

「ああ」

「藍染さん…それはちょっと…」

「不満か?ギン」

「不満、と言うかシュール過ぎません?」




そう微妙な空気を出す2人を後目に、藍染は膝で眠るカルラに視線を落とすだけ。




その後すぐに藍染の前に姿を見せたウルキオラ。




「お呼びですか」

「ああ、すまないね ウルキオラ。カルラ、起きなさい」




そう優しく声を掛けた先には先程からウルキオラの視界にも入っていた白い破面。藍染に起こされ振り向いたその目は白に栄えた真紅の眼。


翡翠と真紅の視線が合った。




「ウルキオラ、この子を君の従属官にしよう」







「はい」







「カルラ、彼が今から君の主だ」




寝起きの頭にやけにクリアに映し出されたその姿に涙が流れた。



―――ああ、やっぱり








「綺麗」








私はアナタが大好きだったんだよ。






 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ