黒ノ書庫
□狭間に届いた君の声
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『―…ア‥ク………クル……』
頭に.微かに声が響く。
『………アク‥セル』
「…………誰だ?.」
何も見えない闇の中.誰かが俺を呼ぶ。
これは………夢……?
『…アクセル…ッ……‥』
急に俺を呼ぶ声のトーンが今でも泣き出しそうな程に切なげになる。すると.何故だか胸が苦しくなって………。
「アクセル。」
「アクセル………って………オイ…?何のつもりだ貴様」
……………
…………。
え……?
「…ってうわぁ!!!何してんだよ俺っ!!?」
「それはこっちの台詞なんだがな。」
ヤバい。俺.ヤバい。
何がと言うと.何故か俺を起こしに来たサイクスに…………
サイクス…に…………猛烈なハグをかましていたからで……。
幾ら昨日早く寝そびれたからといって…寝ぼけにしてはタチの悪いボケ方だぞ…。
つか何でだよ!!!何……アレ.何か夢見てたような………。
「アクセル。いつまで寝ぼけている気だ?………全く.勝手に抱きついて来たかと思えば。」
「あ否……その…」
頼む.誤解だけはしないで下さい。
「………フン.まぁいい。すぐに支度して広間にこい。……….あと僅かで時間だ。」
「あっオイ……」
バタン。
サイクスはいつも通りの不機嫌な顔のまま.俺の部屋を後にした。
ハァ………抱きつき損。
「…ズズッ………寝冷えしたカモ…」
昨日夜風に当たり過ぎたせいか.身体全体が少し気だるい。
いっそこのまま召集を無視して心地…いいとは言えないが.とりあえずベッドで寝ていたい。
「かったるいな…。」
何かもう寝覚め最悪な俺は.仕方なくサイクスの言う通りに.光を受けて乱反射しまくりなタンスから服を引っ張りだして
支度をしだした。