黒ノ書庫

□狭間に届いた君の声
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今日は特に.月が綺麗に見える…。

俺は.自室の窓から顔を出し.月を仰いでいた。
「全然眠れねぇな………」

そう.独り言を呟くと.冷たく心地よい夜風が.上半身を撫でる。
いつもならすんなり眠りに就ける筈なのに.今日は何故か目が冴え渡ってしまい. 時間を持て余してしまって今に至る。

この忙しい時期に.何故悠長に月見をしなくてはいけないんだ。
しかしそれも仕方がない。
「…質素にも程があるだろーに…」

始めはイイかも.
何て思ってもみた。只ね.ダブルのベッドと無機質な収納棚.それに.
隠しタンス。

何故にワザワザ隠す必要があるのよ.ゼムナスちゃん。

貴方のホワイト好きは分かったから.いい加減にインテリアの設置許可ってモンをだな…
「ハァ…。」

何て.暇つぶしに小言を呟いてもみるが
実はこの部屋.寧ろモノが多い方で.時計と.ナミネの描いた飾り絵が有るだけマシだったり。


アレだ.サイクスの部屋なんて.この黒服のスペアをしまうクローゼットとベッド.それに飾り棚しか無い。


否.もしサイクスが人間の様な生活をしていたりしたらー…………。
わ………
………
…恐えぇ。

そんなくだらない事を考える自分も.否寧ろサイクスの事考える辺りからおかしい気がする。

どうせならもっと可愛い………

「って.ヤバ…もう四時過ぎかよ…」


ふと近くの時計に目をやると.針は無情にも四時を示している。


流石に身体も冷えきってきて.ふとベッドの方を振り向くと.暖かげな布団が俺を誘う。

「眠くねぇけど…仕方ないな。」

あ.ちゃんとアラームセットしとかないとな。召集に遅刻でガミガミ言われんのは勘弁だし…。
「今からだと起きれそうもねぇけど………」
そう言いつつも.布団に潜れば次第に瞼は重くなり.
いつしか俺は意識を手放した。
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