おはなし
□手をのばせば
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椿が好きで。
でも告白とかできるわけなくて。
それから兄弟ってこと知って。
更に言いづらくなって。
椿と話すたびドキドキして…
それと同時に苦しくなる。
学校の帰り、偶然椿と会った。
「藤崎…。」
「…よぉ…。」
ぎこちない空気。
ああ…本当は話してぇのに…触れてぇのに…。
「…どうした、何かあったか?」
「は…?」
「いや、何か…辛そうな、複雑な顔をしているように見えたのだが…。」
さすが兄弟…か。見るだけで分かっちまうとか…。
「なんでもねーよ。」
「嘘をつくな、…悩みなら…頼ってくれて、構わない。」
あんたのことで悩んでんだよ。
とか言えねーし。
「…兄ちゃんが心配なのか?」
「なっ!!///」
「サンキュ、気持ちだけもらっとくよ。」
「ち、違っ…///貴様が静かだと、そのっ…気持ちが悪いからっ…!!」
「へーへー、そうですか。」
オレが帰ろうとすると、違うんだからなっ!!と言って、帰っていった。
とりあえずバレずに、追求されずに帰ることができた。
…やべぇ…椿可愛い。
赤くなった瞬間、抱き締めたくなった。
オレもそろそろ限界だぞ…。
でも、唯一の肉親である椿に拒まれることを考えると、何もできなくなる。
「ああぁー…。」
なんで椿を好きになっちまったんだろう…。
他の人ならよかったのに…。