Tales of Tour

□科学大国クレイ
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「ジジイ、ここからクレイ公国まで何日ぐらいかかる?」

「俺の足で12時間、お前の足で1日、嬢ちゃんの足で2日だな…っと」

エイルは途中で話を止め、前方から来る、サイノッサスが引っ張る馬車のようなものに声をかけた。

「おい、お前ら遅かったじゃねーか、どうしたんだ?」

エイルは中に乗り込んで手綱を掴んでいる男と後部座席に座っている男に声をかけた。

「いやぁ、魔物に襲われちまいまして…」

後頭部をポリポリと掻きながらバツが悪そうに言う男に、エイルは「大丈夫だったのか」と詰め寄った。

「その…なんつーんすか…助けられたんすよね…えーっと…ほら、エイルの兄貴の隣にいる男と真逆の容姿をした感じのヤツに!」 

後部座席の男は、クレイルを指さして言った。

「俺と真逆?」

「そうそう、アンタは、赤い髪で緑眼だろ、そいつは青髪で黄色い眼なんだよ!」

クレイルはへぇ…と答えて、ルーチェの方を見た。

「ルーチェ、こういう他人を助けられるヤツが仲間に必要なんじゃないのか?お前の理論から行くと…」

「うん!仲間にしたいね!」

ルーチェはまるで宝石でも見るかのように目をキラキラさせて言った。

「でも、あてがないだろ?」

エイルは二人に確信を突く質問をぶつけた。

ルーチェはう〜んと唸ると、人差し指を立てて、つまりと言った。

「青髪で黄色い眼をしたブサイクな男を探せばいいって事なのかなぁ…」

ルーチェの発言に周りが凍りついた。

クレイルは、呆れたように頭を抱えて、「なぁ、ルーチェ」と声をかけた。

「どこからブサイク出たんだよ」

「え?だってイルと正反対って言うから、イルはイケメンだし…イケメンの反対はブサイクでしょ?」

「いや、だからイケメンとかそう言うんじゃなくてな…しかも、その男が俺の知ってる男なら、そいつは多分俺よりイケメンだよ」

「随分と知り合いのように話すんだな友達か?」

エイルはクレイルに尋ねた。

「友達ってかカモだな…昔そいつ相手にポーカーで20万ガルド巻き上げたことがある!名前はアテイン・ミルシアナ、世界を旅する野良人だ」

「野良人!そんなの会えるワケな…」

「まだ、アテインだと決まったわけじゃ無いだろ?とりあえず、今はどうやって砂漠を抜けるかに話を戻そう」
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