浮気男と女王様
□馬鹿犬と女王様…全4P
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「……何がしてぇんだろうな俺は……」
「それはこちらのセリフだ」
呟きと同時に開かれた部屋の扉と翔平の声に開いた口が塞がらない
「何時だと思っている。消灯時間後は出歩くな阿呆が」
扉を足で押さえ、腕を組み俺を睨む翔平の視線から逃れる様に顔を伏せた。
「夜這いか?充分に楽しんだ割りには元気だな」
それが先程迄行っていた行為に対する嫌味なのは痛い程に分かり下げた頭が上げられず、弁解する言葉を持たない俺はただそこに立ち尽くしていた。
「はぁ、まぁ、いい。丁度お前に話があったからな、入れよ」
室内に促されても俺の足は前に進まない、入ったら最後俺が一番聞きたく無い言葉を告げられる。
それを言わせてしまう行為を重ねた俺が何を言ってるって話だが別れたくない。
その思いは変わらなくて、だせぇけど俺はこの場から逃げ出そうと足を室内とは逆に向けた。
「いや、悪ぃから戻るわ」
「はぁ?何に対して悪いんだか分からん。門限無視、外泊上等の貴様が今更全うな事を言うな。入れと言ってるんだから入れば良い」
無理矢理腕を引かれ放り込まれた寮長室は一人部屋。
それを知っていながら此処に足を踏み入れたのは初めてだった。
1年間積み重ねた行為の代償を言い渡されるのが怖くて一度も訪れる事が無かったから。
はっきり言ってしまえば3年に為ってからは俺はひたすらに翔平を避けて居たのだ、避けて翔平に向けたい欲求を他で発散していた、どうしようも無い悪循環。
分かっていながらどうしようも無い、自分が馬鹿すぎて嫌すぎる。