浮気男と女王様
□番犬…全6P
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体育館の扉が開かれ蒸しかえる熱い風が肌を撫でる。
夕闇から宵闇に変わった体育館内は暗く静かで俺が体育館内に足を踏み入れると後ろで扉が閉まる音がした。
卒業式の為にセッティングされた体育館内には多くのパイプ椅子が並べられて居る為に、闇に慣れない双眸で足を進めるとカツンと鉄の響く音が響いた。
舞台上横に設置されている電源パネルを目指さないと作業所じゃない。
手探りで足を進める頃には大分暗闇に目が慣れ始めた時体育館内が人工的な明りに照らされ
暗闇に慣れ始めた眸は光に対処できず目が眩み足を止めた俺を後ろから羽交い締めにする腕。
「波瀬先輩、これは一体?」
目が眩んだ条件反射
その隙に波瀬先輩に抱き締められる形に為ってしまった事だけでも苛立って居るというのに目の前で下卑た笑みを浮かべた連中に内心で舌打ちを打つ。
「これはこれは見知った顔が勢揃いで……もしかしなくても貞操の危機って状況何でしょうか?」
「高梨は物分かりが好いね。僕達、卒業したらもう高梨と一つ屋根の下で暮らせないだろ?
振られたけど諦め切れないんだよ、卒業前に俺達に高梨を頂戴。卒業祝いとしてでいいから。それにこっちの相性が良くて付き合いたいって思うかも知れないだろ?」
項に掛かる髪の横に波瀬の(こいつを先輩とはもう思わない)舌が触れねっとりと舐め上げられる。
途端に走る悪寒に躰が震えた
「震えちゃって可愛いね。感じちゃった?」
「波瀬、ズリィ」
「黙れよ。僕が此処の使用許可を貰ってやったから安心して此処を使えるんだ。僕が終わる迄は黙ってろ」
矢張りあの笑顔は似非でこっちが本質か……と悠長に自分の人を見る目は確かだったなと納得していると不可思議な事を波瀬が口走る。
「高梨の番犬が中々目を離してくれないからこんな手間を掛けなきゃ為らなくなった、君の番犬は本当に従順だね。どうやって手懐けたの?ご褒美はこの躰かな?それなら僕も従順に為るな」
ワイシャツの釦を外し滑り込ませた指が胸を弄[マサグ]って行く
そろそろ堪忍袋の尾が限界に達して居るがもう暫らくこの茶番に付き合ってやる必要が出来た為、大人しく波瀬の手に身を任せた。
最後の最後だから俺からの卒業祝いだ。有り難くその手に焼き付けろ。