浮気男と女王様

□出逢い2…全2P
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「翔平が付き合ってくれんなら1人にするぜ、俺」

 余りに真剣な眼差しで言われ

 『ふざけるな』と口にする言葉が喉に引っ掛かり声に乗せる事が出来ず、藤本の鋭い獣の眼差しを見つめ続けていた。

「本気だからな」

 言わず共分かっていた事を念押しする様に口にし藤本は手を離し自分のトレーと俺のトレーを持ち席を離れて行く。

 その背中を俺は黙って見つめ続けた。

 ――告白?藤本が、俺に?

 俺だけにすると言う藤本の言葉に少なからず優越感を感じてしまった自身の感情に嗤笑し食堂を後にした。

 誰にも捕われない獣が手に入る。

 それはかなり魅力的だと感じる自分の感情を持て余しながらも藤本の前ではその感情を見せず、胸の奥にしまい込んだ。

 藤本もあの本気の眼差しを見せた日以降、あの眼差しを見せる事は無かった。

 近付く事も離れる事も無いただの同室者の関係。

 ――これで良いんだ。これで……。




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