浮気男と女王様

□邂逅…全2P
1ページ/2ページ


 母は俺を天使の様だと周りに自慢し、小さい頃本当にまだ男女の区別もつかない小さい頃俺は赤ちゃんモデルとしてCMやパッケージに映っていた。

 日に焼け難い肌な上に母は俺の肌が焼けるのを気遣いに気遣ってくれたお陰で透ける様に真っ白な肌なままだ。

 小学校のプールは学校側に許可を貰う徹底ぶりで6年間俺はテントの下から気持ち良さそうに泳ぐ級友達を眺めていた。

 髪の毛は常に肩に触れるか触れないかのショートボブ。

 くっきり二重の大きめな眸に女子でも着れそうな中性的な洋服を買い与えられいた俺は男子からは『女男』とからかわれ、散々だったが女子からの評判は良かった。

 そんな俺は学校帰り、稽古の帰り良く変態と呼ばれる趣の人の標的になり何度か襲われ掛かったり、攫われ掛かったりしそんな俺を心配した母は送り迎えをし出した。

 常に母に監視されているかの日常。はっきり言って子供ながらに息が詰まると辟易し俺は父にモデルの仕事は辞めたいと訴えた。

 母に言った所で駄目だと言われるのは分かっていたから。

 予想通り父は『お前がしたくないなら辞めて良い』と俺の望む言葉を口にしてくれた。

 だがそれを聞いた母の取り乱し様は予想以上でこの時初めて父も俺も母が可笑しく為っている事に気付いた。

 母は周囲からの賛辞を得る事に至福を感じそれが得られない事に恐怖する程"賛辞"に依存してしまっていたのだ。

 俺が仕事をしなくなる、それは俺の賛辞を得る機会を無くす。

 母には耐えられない程に重要な事だったらしい……。

 母の為に続けようかとも思ったが子供の俺は皆と同じ事がしたくて仕方ない自分の気持ちを優先した。

「いや、いや、翔平は皆に可愛いって、天使だって。こんなに可愛い子供で羨ましいって!!」

 当時150センチの俺と変わらない身長の母の縋りつく手を振りほどいてしまった。

 母の為にしたい事を我慢するのがどうしても出来なかった。

 結果母は病院で療養する事に為り未だに赤ちゃんの人形を『翔平』と呼びながら、看護師や見舞いに行く俺に『可愛いでしょ、私の翔平は』とだけ繰り返している。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ