私の可愛い御主人様

□変化
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 誕生日からひと月16歳になった暁の生活が激変する訳も無く今までと変わらない生活を送っていた。

 幼稚舎からの付き合いの友人達と肩を並べ一般教養、帝王学、英語は勿論他国言語等々世間一般の学校では見受けられない授業ラインナップを熟す。

 勿論学校が終わった後はお屋敷で個別授業が予定されている。

 将来竜ヶ崎グループの頂点に立つため日々努力を積み重ねている暁は本日の屋敷での学習を終え自室の長ソファーに横たわり押しあてたクッションからくぐもった声を漏らし、足をばたつかせている。

「失礼致します。暁様お疲れ様でした、少し遅いですがティータイムに致しませんか?暁様の大好物を御用意しております」

 クッションから少し顔を浮かした暁は小さな声で『食べる』と返事を返しむくりと起き上がった。その胸には先程まで顔を押し付けていたクッションが抱き抱えられている。

 その姿の可愛さに普段破顔する事が無い昴の顔が緩み口元に笑みを浮かばせたままカートを取りに暁の部屋を後にした。

 そう時間を有せず再び部屋の扉がノックされ一拍置いて扉が開かれる、二名のフットマンが扉を押さえ開け放たれた道を昴がカートを押し歩く。

 昴が室内に入った後扉は静かに閉められる。暁の瞳はカートに乗せられた四段仕様のスタンドに釘付け。

 上からサンドイッチ、焼き菓子。スコーン、タルト。

 室内に甘い香りが立ち込める中昴はミニテーブルを暁の前に用意し、レース仕立てのテーブルクロスを皺一つ作らずセッティングし終えカートからスタンドを移動させる。

「アップルタルト!!ボクの大好きなイギリス式のだ」

「本日の学習時間はどうやら暁様の御機嫌を斜めにしてしまったようでしたので……少しは気が晴れましたでしょうか?」

「もちろん。昴、早く食べたい!!」

 大好物のデザートを前に一気に晴れやかな笑みを浮かべ昴がプレートに盛り分けるのを待つ暁の瞳は爛々と輝きを放つ。

「いただきま―す」

―暁が一番お気に入りの英王室御用達ロイヤルドルトン社のティーセット一式にプレート。

 大好きな物を大好きな食器で食べる。それは上流階級ならではの拘りと贅沢な食事の愉しみ方。




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