私の可愛い御主人様

□誕生日…3P
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「今日は良いパーティでしたね、暁[アキラ]様」

 燕尾服姿の見目麗しい青年が自身の胸よりも下に位置する少年の上着を脱がしながら問い掛ける。

 欠点など全く無い美形を絵に描いたような青年。

 切れ長な双眸、顔の中心を抜ける高い鼻梁、薄く形の良い唇が計算され尽くしたかのように各々のパーツが細身の輪郭に配置されている。

 スラリとした細身の体躯に小さな頭が乗っかり8頭身なのは言う迄も無くモデルのようだ。

 艶やかな長い黒髪を項で一本に結わく彼の名は椎名 昴[シイナ スバル]見た目通り此処世界有数の富豪で知られる【竜ヶ崎家】の執事である。

「うん。お父様とお母様もイギリスから戻って来てくれたしすご〜くいいパーティだった」

 上着を脱がされ終えた少年が体を半回転させ昴に満面の笑顔を向けた。

 幼さが残るふっくらとした頬にアーモンド型のくっきり二重の大きな双眸。ちょこんとした鼻筋と小さな薄紅色の唇。

 昴が美青年と呼ぶに相応しいなら少年はまさに美少年と呼ぶに相応しい。

 今日のパーティこの二人が並び立つだけでそこが一段と華やかな風景になったことだろう。

「半月振りの再会でしたからね、本日の何よりのプレゼントになりましたね」

「うん。ありがとう昴」

 少年のワイシャツのボタンを外していた昴の白手袋に包まれた手が止まり少年の顔を見つめる。

「お母様にきいたよ。今日本当は仕事で来られなかったお父様を説得してくれたって……」

「私は暁様が普段どれだけお二人が居られない間頑張って居られるかをお話ししただけです。旦那様の心が動いたのは暁様の頑張りを認めて下さったから、私は大したことはしておりません」

 そう告げた昴の手が再び動きボタンを外す作業を開始する。
 だがその手を昴の手に比べれば小さな手が握り動きを止めさせた。

「暁様?」

「大したことだよ。あのお仕事優先のお父様を動かしたんだからホントにホントにありがとう。昴がボクの執事でホントに良かった」

 少年こと竜ヶ崎 暁[リュウガサキ アキラ]。本日愛でたく16歳を迎えた竜ヶ崎の嫡男にし昴の仕える唯一無二の御主人様。

 イギリス貴族の母の血を色濃く継いだ全体的に色素の薄い透き通るように白い肌に、金に近い薄茶色のセミロングの髪、琥珀色の瞳。

 お人形のような容姿の暁が微笑み膝を折り作業していた昴の首に腕を回す。

「Diolch Subaru」

 母の地方のウェールズ語で感謝の言葉を口にし昴の頬に頬を当てチュッと小さなリップ音を鳴らし離れる。



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