No.6

□生死
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「あんた.....中から来たのか?」


















耳元で聞こえる低い声














『な.....中?!ゴミの....中..........だけど....』







喋ったらナイフが刺さるのではないかと心配しつつ返事をする



どうやら、後ろに立ってる人は私より背が高いらしくゴミの山に映ってる影がそれを物語る





「ッチ......    どこの人間だ?」






『どこ........って..........どこ?』




全く分からない という顔をしているのに気づいたのか、のどもとのナイフがすっと消える。





「.....記憶がないのか?」





声が遠ざかったのを確認すると、後ろを振り返る









『.............ね、ネズミっ!?!?』




ぎょっとしたような顔になるネズミ






『本当にネズミなの!?えw本物!?』









助走を付けてネズミに抱きつく










「うおぉっ!?っっちょ てめっ...」











次の瞬間にはなつは地面に叩き付けられていた





「いきなりなんだよ...   アンタ、なんで俺の名前を知ってる?」









『いっつぅ.....あ、うん、それはね?」



















      ・

      ・

      ・

話すこと30分




自分が他の世界から来たらしいと言うことや、その世界ではネズミたちは物語にでてくる人たちだと言うことを話す。



「....つまり、アンタは本の世界へ迷い込んだってことか」


まだ納得がいかないような顔でネズミが要点を述べる



『うん、そーゆことになるね』



「本の世界ねぇ....俺も行ってみたいよ」

ぼそっとつぶやいた声はなつには聞こえなかった





「....まぁ アンタ面白そうだし、俺の家へ来い。どーせ行くところもないんだろ?w」


『本当ぉ!?やった!さすがネズミ!ふとっぱr「ただし、話すときは10文字以内で」....へ?』






『はい....』



「いい子だ ついて来い」











『はい。1つ質問』



少し歩いたところでなつが口を開く



「ん?」




『紫苑は居るの?』







ネズミの奇麗な瞳が揺らぐのが分かる






「それも知ってんのか....」





『何時になったら助けるの?』




「10文字オーバー」







『......(しまった)』




「罰として5分黙れ」






『!?(酷っ!!!)』








「アンタには関係ないし、めんどうだから巻き込みたくない。






......1つきく






俺は紫苑を助けれるか?....」







『ーーー(5分黙れって言った!)』



「....?....あ、馬鹿だろアンタ。」




『すみませんでした.....』








少し凹んだものの、ネズミの目を見て




『助けれるよ』






はっきり言う










「そうか、ありがとう」






素直なネズミのお礼になつはニコッと微笑む























ギィ......
















石の扉が開く





『おぉ!.....』


ネズミがランプを付けると、ぼんやりと見えてきたのは

花畑.....じゃなく本畑と称していいくらいの本の量


『ねぇねぇ!これ、読んでいい?』






「あんた、本読むんだなw」



『今、ちょっと見下したよね』



「え、そんなことないよ?」
クスクス笑いながら言うネズミ









その笑顔に見とれてしまったのは内緒だ






『むぅ....あ!この本読んでいい?!』





素早くネズミの方に本を差し出す



「あぁ、いいけど.......それより、俺が先にシャワー浴びてるから大人しくしてろよ?」



『大丈夫だよ。ネズミのお風呂覗いたりとかしないから』


本を読みながらぼそっという









「......(コイツ危険じゃね?).....」










  









ネズミが心配したほど、何も起こらず、なつは本の世界に没頭していた。




「ほらっ」



タオルを放り投げる



『ぅわっ!ちょっびっくりするじゃ......』





「....ん?」








風呂上がりの髪がぬれてるネズミにときめく











『なんでもないもんっ!//』




頬が紅潮していくのがバレないよう背を向ける










「さっさと入って来いよ、俺の特製スープをつくってやるから」











『あ、ありがとう』













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『ふぅ....』





熱くなったり冷たくなったりと、このシャワーは忙しい。





けれども、やっぱりほっとする訳で、








それと同時にふと思い出す。








そういえば、紫苑はここで水ぶくれ....触ったんだっけ?










ん?下水道の時だっけ?





曖昧にしか読んでない自分を恨む。













そしてそっと自分の首筋にも触ってみた。

もちろん何も.....ない。





よかったと思い安堵のため息をつき、キュッとシャワーの蛇口をひねる。
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