TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□重なる三本目の道
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「考えてもダメなら、力ずくでいくっきゃねぇだろ!」

言うが早いか、ユーリは一気にゴーレムと距離をつめていった。そんな彼に、仲間達は「無茶だ!」と声を上げるが、すでに彼の耳には届いていない。

そんなユーリを見て、フレンは肩をすくめた。

「すみません、レイヴンさん。フォロー頼みます!」

フレンはレイヴンの返事を聞かずして、ユーリ同様に駆けて行った。レイヴンは一瞬戸惑った表情になるが、すぐにエステルやカロル達と顔を見合わせ、ニッと口元を緩ませて青年二人のフォローの態勢に入った。

「戦迅狼破!」
「鳳凰天駆!」

それぞれの奥義を、そろってゴーレムへと叩きつける。その衝撃の強さに、初めて相手はよろめいた。

だがその体勢を整えるように、ゴーレムは先ほどの高速スピンで二人に襲い掛かってきた。二人はかわすことができずに、直撃を受けてしまった。

「ユーリ! フレン!」
「エステル、だめ! 危ないわ!」
「うわあ!! こっち来た!!」

今にも彼らに向かって駆け出していきそうなエステルの腕を引っ張って止めるリタ。直後、カロルの悲鳴が響き、同時にゴーレムがこちらにやってきた。ジュディスとラピードがなんとかその動きを止めようと前に出るが、それは甲斐なく終わり、無様にも吹き飛ばされてしまった。

「くそっ…さすがにやべえな……」

ペッと口の中に溜まった血を吐き出し、ユーリはいつになっても倒せない敵に苛立ちを覚える。それだけではない。仲間達は次々に負傷していき、戦闘は不利になる一方だ。

「せめて、動きを止めることさえできたら……」

フレンも歯がゆい思いで剣を握り締めている。

そんな彼らに、更なる絶望が訪れようとしていた。

ゴーレムから逃げ惑うカロル。しかし、その時何かにつまずいてしまい、そのまま転んでしまったのだ。

「カロル!」

ユーリの声が彼に届いたときには、ゴーレムはもうそこまで迫っていた。嫌な未来が彼らの脳裏をよぎった――刹那だった。
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