TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜
□決着
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「くだらんことを……っ!」
その目くらまし程度にしかならない攻撃に、ガリスタは組み上げていた術式を台無しにされた。
そして次の瞬間、本の雨がやんだ先で彼は思いもしなかったものを見た。
ユーリの左腕に赤く輝く何か。それに二人は手を添え、構えていた。
「食らえ!!」
それは彼らがいつか見た、双子の力を合わせて発動させた魔術の真似事だった。瞬時に組み上げられた術式は、ガリスタに向かってまばゆい光を放ち、その視界を一時的にでも奪い、動きを止めた。
その一瞬。ユーリはガリスタの胸に、剣を突き立てた。
「それは……!」
苦痛に呻き、口から血が次々と零れ落ちる。ガリスタは自身を貫く少年に、赤い輝きを放つ金色の腕輪に釘づけにされた。
「……隊長の魔導器だよ」
ユーリはその言葉と共に、剣を引き抜こうとした。
だが、その手を強く握りしめられ、身動きが取れなくなってしまう。驚く彼の目に、ガリスタの魔導器が光を、術式を組み上げていくのが映った。
「くッ…このまま……ただではやられない……!」
「ユーリ!!」
少年らの顔に焦りが表れる。ユーリは必死に逃れようとするが、ガリスタはその手を放さない。術式が着々と組み上がり、ガリスタの口元がにんまりと歪んでいく。
――その時だった。
「洸魔・閃迅剣!」
彼らの頭上から光の衝撃波が凄まじい速度で駆け下り、ガリスタの背を大きく切り裂いた。その衝撃で握られていたユーリの腕は解放され、急いでガリスタの傍から離れた。
直後、ガリスタは自身が組み上げた魔術の爆発に巻き込まれ、大量の血を流しながら本の山にその身を投げた。
「ユーリ! 大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」
駆け寄るフレンに、ユーリは緊張の糸が切れて放心に近い状態のままで返事をした。その目はガリスタに向けられており、彼がもう二度と動かないことを確認すると、大きく息を吐いた。
「隊長、終わったよ……」
左腕につけた魔導器に呟くと、赤い小さな光を放っていた魔核から光が静かに消えた。まるで、「そうか」と安心したように。
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