TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□決着
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二人の悲しみの全ての元凶。それに刃を向けることに、何ら抵抗はない。

剣を抜き、フレンは怒りに任せてガリスタに斬りかかった。

「どうやら、ここでも魔導器が暴発する必要がありそうですね」

だが、その攻撃は発動したガリスタの術によって簡単に防がれ、吹き飛ばされてしまった。

ガリスタは高らかに言い、ゆっくりとユーリに歩み寄っていく。そして放たれる紫色の雷。ユーリはそれをかわしながらフレンの元へと走った。そしてその手をひき、再度放たれたそれから逃げ、狙いを定められないように本棚の隙間へと身を隠した。

「ぉぉおおおお!」

決して慌てることなく、じっくりと機会を窺う。そんなガリスタへ、今度はユーリが斬りかかった。

その剣は再び防御魔法によって弾かれるが、入れ替わるように現れたフレンの剣を弾く準備はできていなかった。ガリスタは身体をひねらせ、その剣撃を回避しながら紫の雷を再び放ち、フレンを本棚の間の奥へと吹き飛ばす。

「痛いな……」

だが、フレンの剣はガリスタに届いていた。
小さな傷だったが、額を斬られ、端正な顔の中央を鮮血が流れる。静かな怒りを込めた呟きを溢して、ガリスタは第二撃の用意をしながら、埃の舞う中、フレンへと迫って行く。
だがそこに足を踏み入れた途端、本棚が彼目がけて倒れてきた。

それはユーリの仕業。隣の通路から本棚によじ登り、両足を使って本棚を押し倒し、フレンは急いで本棚の間を通ってまわり、他の通路から脱出した。ドミノのように次々と倒れて行く大量の本を収めたそれに、ガリスタは生き埋めにされた――ように思えた。

ドンっと爆発が起き、彼は魔術で散らばった本を従えて二人の前に再び姿を現した。

「ムカつく奴らだ!」

低く、静かに吐き出される苛立ち。ガリスタは魔術で操った本の山を、ユーリとフレンに叩きつけた。それにより、二人の背後にあった大きな窓は柵ごと壊れ、襲いかかる強い衝撃に膝をついた。砕けた窓ガラスで切ったのか、フレンは頭から、ユーリは右頬から血を流し、本の山の中で呻いていた。そんな二人のもとへ、ガリスタはゆっくり迫り続ける。

「ちっくしょう!」

それを目にしたユーリは舌打ちをし、右手をズボンのポケットへと忍ばせた。

「フレン、一か八かだ。隙を作ってくれ」
「わかった!」

そこにあったあるモノを見せ、ユーリはフレンに、最後の作戦を伝えた。フレンはその意図を理解すると、つみ上がった本の山の天辺で魔術を発動しようとしているガリスタへ向かっていき、剣で下からすくい上げるようにして本を吹き飛ばした。
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