TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□赤き異変の中枢
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***



『エアル、赤いでしょ?』

リタの問いに、ナイレンはシゾンタニア渓谷で見た景色を思い出す。

紅葉する木々の周囲で赤い粒子のようなものが視界に映っていた。あれはエアルが一定の量を超えて存在すると起こる現象。

彼がリタの質問に頷くと、彼女は顎に手を当てて首をひねった。

『濃すぎるのね。その異常な濃度が周囲に影響してるんなら、とりあえず発生を止めないと』

そう言うなり、リタは今自身が腰かけているベッドに隣接している机の下から一つの魔導器を探し出し、ナイレンの前に差し出した。

『これ、エアルの採取用にあたしが作ったの。量は減らせるかもしれない』

説明する少女の手から、ナイレンは魔導器を受け取った。

『どう使う?』
『エアルが発生してるところに置いて起動させて。あとはこの子が勝手に動いてくれる。役に立つとは限らないわ。この子も魔導器だから、影響を受けるかもしれない』
『しかも全て仮説に過ぎない』
『そういうこと』


***



遺跡の奥で何かしらの魔導器が稼動しているのかもしれない、という仮説。魔導器研究家リタの予想は見事に当たっていた。

そして、彼女手製の魔導器の出番が訪れた。
ナイレンは取り出した魔導器に例の術式を使うと、地面に置いてみた。

「何だ、これ?」
「何だ、これ?」

すると、発動した魔導器はまるでメガネをかけた四足の蜘蛛のような形状になり、キョロキョロとあたりを探るように見渡し、動き出したのだ。ユーリとナイレンは全く同じ反応を示し、キョトンとした目で魔導器の行く末を見つめた。

やがてそれは例の大穴のもとへカタカタと歩いていくと、その円状の身体を大きく広げ、魔導器と大穴の間に黒い幕のようなシェルターを展開した。吸い上げられていたエアルは、そのシェルターに吸収されるせいで巨大魔導器に供給されなくなる。

すると、燃料の無くなった魔導器は徐々に活動を停止し始め、魔導器の部品の隙間からこぼれていた紫色の輝きを失っていった。

「止まった!」

魔導器の停止を確認し、ユーリが歓声をあげた。
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