TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□赤き異変の中枢
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回廊を駆けた先に大広間が見えた。そしてナイレン達がそこへ足を踏み入れたのと同時に、天上から舞い降りるようにブロックが積み上がって行くのが目に入る。

思わず足を止め、その光景を見上げた。すると、先ほどとは比にならない、数百メートルはあるのではないかと思うほどのゴーレムが、彼らの前に現れたのだ。

「でかいって……」

あまりの巨大さに、ユーリは思わず驚愕を通り越した呆れの声を漏らした。

だが、その口調と表情のようにのんびりとしてはいられなかった。さっきのとは違って足を持つそのゴーレムは、ブロック同士をつなぐ赤い筋を自在に伸ばし、巨大な手で彼らに迫ってくるではないか。

一行は左右二手に分かれてその攻撃をさけ、直接攻撃を受けないように走り続けた。ゴーレムはそのうちの片方、シャスティルとヒスカたちが逃げた方に狙いを定めて攻撃を仕掛けてきた。

「きゃあ!!」

リタの術式を使い、応戦しようとシャスティルが魔導器を発動させる。だが間に合わずに、敵の攻撃の余波で仲間共々吹き飛ばされてしまった。

埃が舞い、視界が遮られる。するとゴーレムは、今度は反対側にいたユーリやフレン達目がけ、踏みつぶさんとばかりに向かってくるではないか。それをユーリ達は、再び左右に分かれて回避していった。

巨体とはいえ、同じ構造の敵だ。弱点はわかっている。

だが、そこは容易に攻められない位置にあった。フレンは天井から伸びているいくつかの赤い筋を睨みつけながら走り続ける。敵はナイレンと共に逃げた仲間の攻撃に気をとられ、こちらに向かってくる様子はない。その隙にユーリ、フレン、そしてクレイの三人はシャスティルたちのもとへと向かっていった。

舞い上がった埃が晴れた頃、彼女達が瓦礫の中で呻いているのが確認できた。足や腕をブロックで挟まれて身動きが取れずにいるようだが、命に別状はないようだ。シャスティルも、自分の左腕とヒスカの右足を捕えているブロックを動かそうと、強く右手で押していた。

その時だった。

「嘘っ、やだっ!! ちょっと!!」

彼女の魔導器が限界を告げた。魔核が赤い光を爛々と放っている。

だが、それを外そうにも、彼女の片腕は不自由なままだ。このままでは暴発に巻き込まれてしまう。

悲鳴をあげて動揺する彼女に、クレイが駆け寄って魔導器をその手から外し、遠くへ投げ捨てた。それが地面へとたどり着いた瞬間、魔導器は爆発した。あと少し遅ければ、仲間達の身も危なかっただろう。
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