TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□魔導兵器との死闘
2ページ/4ページ

「お節介なんだな」
「はははは! 可愛くねぇのぅ。街がなくなっちまったら、俺らも商売ができねえからな。それに子分の仇もとらなくちゃならねぇ。さっさと片付けちまおう」

だが次の瞬間には、くすりと口元に笑みを浮かべ、恐らくメルゾムのお気に入りであろう余裕の垣間見える生意気な口調で返してみせたのだった。メルゾムはその発言を豪快に笑い飛ばし、そして静かに彼に気合を入れていた。

その様子に、クレイとナイレンはふっと笑みを浮かべていた。

「隊長!」
「痛みは取れたよ、大丈夫だ」

そして立ち上がろうとするナイレンに、治癒術を施していたヒスカが心配の声をあげた。彼は優しい笑みを携えてそう言うと、彼女の魔導器へと目をつけた。

魔核が赤い光を爛々と放っている。リタの術式に限界がきていたのだろう。

「もう魔導器はずせ」
「でも……」
「暴発したら皆を巻き込むぞ」
「! はい!」

ヒスカはその言葉に従い、右腕の魔導器を投げ捨てた。

そして体勢を立て直したナイレンを先頭に、メルゾムらギルドの一行も加え、彼らは再び先へと進んだ。シャスティルが示した入口から入り、慎重に螺旋階段を下って行く。下のフロアにたどり着くと、奥へ続く暗い回廊から、怪しく輝く赤いエアルの粒子が流れていた。

「いかにもだな」
「頼むぜ、二人とも!」

ユーリが回廊を鋭く見つめながら呟く。ナイレンは両隣に立つ少年二人に笑いかけながら、威勢よく先頭を進んでいった。


***



茶色い石で造られた回廊を、一行は急ぎ足で進んで行った。エアルが流れ、複数の足音が響くだけの静かな通路。その最後尾を走るメルゾムは、その途中、異様な気配を察した。足を止めることなく後ろを振り返れば、まるで彼らを追うように地面が脈打つようにうねり、向かってくるではないか。

「ナイレン!」

メルゾムが警告の大声をあげ、足を速めた。

だが、もう遅い。

床の波は一行の足元を大きく揺らし、壁や床へとその身を飛ばして行った。ユーリやフレンも床へと身を投げ出され、そして彼らを通り過ぎた地面のうねりへと目を向けた。直後、彼らからそう遠くない場所で床が盛り上がり、一体のゴーレムが床から生えるようにして現れたのだ。周囲に漂うエアルと同じ赤い二つの光で彼らを捉えると、ゴーレムは巨腕で床を強く殴った。それは衝撃波となって体勢を整え直せていない一行へと襲いかかる。

それでもなんとか回避を成功させれば、エルヴィンが埃の舞う中ファイヤーボールを放ち応戦した。だが、ゴーレムの動きは素早かった。床の中に潜るように攻撃をかわしたかと思うと、ユーリとフレンの後ろから、今度は壁を突き破るようにして姿を現してきた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ