TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□魔導兵器との死闘
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崩れた塔の天辺周辺に見える赤い稲妻。その正体はおそらく、高濃度のエアルなのだろう。周囲のエアルは、その塔を中心に流れているようだった。

「フレン、気をつけろ」
「はい」

ナイレンらはその塔のふもとまで辿り着くと、地面と塔との間の空間を覗き込んだ。
ナイレン、フレン、シャスティルの三人が下を窺うと、赤い粒子が下から溢れ流れてくるのが見える。

「更に下か」
「入り口、あっちですね」

呟くように言うナイレンに、シャスティルは右に見える通路を目線と共に伝えた。その先に二人も視線を向けた、次の瞬間だった。

「ぐうっ!」

苦痛の混じったうめき声と、ドサッと何かが倒れ、そしてカランと剣が地面に落ちた音が続いて聞こえた。周囲を警戒していたユーリやクレイらは、何事かと瞬時に振り返った。
すると、先ほどまでフレンらが覗き込んでいた空間から伸びた赤く細い触手が、ナイレンの左腕を貫いているのが目に入った。傍には呆然として尻もちをついているフレンと、突然の事態に動けずにいるシャスティルがいる。

それだけで何が起きたのか、彼らは理解した。赤い触手に襲われるはずだったのは、実はフレンだったのだ。それをナイレンがかばった結果、触手は貫いた左腕から徐々に広がるように彼の身体を蝕んでいる。その攻撃のせいなのか、ナイレンがそれを引き抜こうとしてもうまくいかない。

それを見て、クレイが血相を変えて駆け寄ろうとした、その時だ。ズンっと地面に響くほどの衝撃と共に、メルゾムが一行の頭上から姿を現した。そして手に持つ棍棒で叩かきつけられた衝撃のためか、ナイレンの腕から触手は身を引き、するすると舞い戻っていった。

「痛ててて……よう」
「メルゾム!」

突然一行の前に出てきたメルゾムは、高い場所から勢いよく降りた衝撃によるものなのか、立とうとした刹那に腰をギクリと鳴らした。それでもナイレンへ気丈な声をかければ、ナイレンが驚いて彼の名を呼ぶ。

その直後、驚くのは早いと言わんばかりに、あたりからギルドの男達が次々と姿を一行の前に現れた。それは以前ユーリと酒場で乱闘騒ぎを起こした、スキンヘッドに青髭、そしてちょび髭の三人だった。

「はぁ……年だなぁ、ナイレンよう」
「お互い様じゃねぇか」
「ふん。よう、ユーリ。ずいぶんと余裕のない顔してんな」

痛んだ腰を支えながらメルゾムはぼやいた。そんな彼に、ナイレンは左腕を抱えて膝をつきながらも、余裕の言葉を返したのだった。それを面白くないとばかりに荒い返事で返したメルゾムは、近くに立つユーリへと余裕のある言葉をかけた。突然の登場に驚いていたユーリは、そんな彼にあっ気にとられていた。
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