TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜
□滅びの紅葉の森へ
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街からだいぶ離れ、川沿いに紅葉の森の中を進んでいく。やがて、周囲のエアルは濃度が増してきたのだろうか、赤い粒子となって彼らの目に映るようになっていった。目的地までは、まだ遠い。
しかし、ナイレンはその足を突然止め、周囲を窺うようにキョロキョロと顔を動かした。
「隊長?」
「ユルギス、ちょっと魔導器発動させてみ?」
「は? ……はい」
その様子に疑問符を浮かべたユルギス。ナイレンは首だけをそんな彼へと向け、のん気な口調で言った。ユルギスはわけがわからないまま、しかし指示通りに魔導器を発動させた。適当な術式を組み、技を発動させようとする彼の足元に魔法陣が浮かび上がる。
だがその時、異変が起きた。
それまで魔導器の魔核から発せられていた青色の輝きが、突如赤色へと変わった。それと同時に、周囲のエアルの流れが赤く浮かびあがり、足元に浮かぶ魔法陣も歪み始める。
その異変にユルギスだけでなく、近くで様子を見守っていたシャスティルやヒスカら、それにユーリやフレンもが動揺し、警戒しながらもその異変に釘付けになっていた。
その時、ナイレンが静かに、ユルギスの魔導器の魔核に一枚の透明な札のようなものをあてた。
すると、その札に書かれていた術式が札から離れ、魔核へと吸い込まれるようにして消えていった。直後、光は元の色に戻り、魔導器は落ち着きを取り戻し、視覚化されていたエアルの赤い流れも見えなくなっていった。
「エアルの影響だ」
「魔導器が使えないんですか!?」
静かに告げたナイレンに、まだ驚いたままのユルギスが声を上げた。他の隊員らも、次々にナイレンへと戸惑った顔を向ける。
「で、こいつを使う。エアルの過剰な反応を抑える術式だ。人数分は複製できた。ただし、長くはもたねぇ。いざという時に使え」
そう言ってナイレンが見せたのは、先ほどユルギスの魔導器に使ったのと同じ術式の書かれた透明な札たちだった。
シャスティルはそれに見覚えがあった。それは、リタの研究所に行った時に彼らがもらったものだった。それと同時に、彼女のめちゃくちゃとも言える人柄がシャスティルの脳裏をよぎった。
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