TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜
□黄昏に流れ来る暗雲
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現場に着いた二人もその中に加わり、ヒスカは人々の誘導に、ユーリは剣を抜き、ランバートと共に迫り来るウルフ達に向かって行った。
一体目を正面から斬りつけ、空中で剣をまわして掴むと同時に身体をひねらせながら二体目の胴を裂き、そのまま宙で回転しながら三体目を上から突き刺し、着地と同時に四体目の腹を突き払う。
流れるような剣技。そして果敢に立ち向かっていくランバートの牙に、魔物は次々と倒れて行った。
「エルヴィン、引くぞ! ユーリ、もういいぞ! 下がれ!」
ユルギスが号令をかけた、次の瞬間だった。彼の支えていた女性が、はっとした表情で口を開いた。
「馬車に娘が……! エマ、エマーっ!!」
叫び声をあげる女性の目に映ったのは、先ほどクリーチャーに襲われた馬車の中ですくんでいる幼い少女だった。しかも、その子の目の前にはクリーチャーとウルフ達が群がっており、今にも襲いかかろうとしているではないか。
「だぁああああっ!!」
クリーチャーが今にも少女に襲いかかろうとした刹那、ユーリの投げた剣が敵を貫いた。奇襲に驚いた魔物らは一瞬怯み、彼はその隙を逃さなかった。ランバートと共にその場へ飛び込み、剣を掴むと同時に一閃させ、残りの魔物を一気に退治してみせた。
「ママのとこ行くぜ? ランバート、先行け!」
助け出したエマに優しく微笑みかけるユーリ。そんな彼らの元に、森から魔物が群がってきた。ユーリは彼女を抱えると、ランバートが切り開く道を一気に駆け抜けていく。
しかし、ランバートだけでは魔物は振り切れない。二人がウルフ達に囲まれようとした、その時だった。矢の雨が降り注ぎ、彼らを襲わんとする魔物たちの動きを止めていった。思わぬ助けにユーリが視線を向けると、そこには弓を構えた、騎士とは違う格好の男達がいた。
「倒れてる奴は担いでつれてけ!」
重厚感のある声が響き、ギルドの勇ましい男達が次々と加勢に現れた。その中央から現れたのは、向かってくる魔物を棍棒で意図も簡単に振り払い、頼もしい歩みでやってくるメルゾムだ。その斜め後ろには、彼に付き添うようにして歩いているクレイの姿もあった。
「クレイ!? これはどういうことだ!」
その姿を見つけたユルギスが荒い声をあげる。
騎士とギルドが良い関係ではないことは、目に見えてわかっている。だが、クレイはメルゾムらをこの場へ連れてきた。それが気に入らないというように、鋭い視線でクレイに問う。
しかし、クレイはそれ以上の睨みで彼のことを黙らせた。「そんなことを気にしている場合ではない」と叱責するように。
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