TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜

□少年の因縁
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「……幼馴染?」

そんな二人を交互に見つめ、ヒスカがフレンを見て尋ねた。

「単に、帝都の下街で一緒に育ったってだけです」

フレンはその言葉を否定するように返答した。ユーリも心外だと言わんばかりに口を開く。

「お前が引っ越した時には、せいせいしたよ」
「採用試験でユーリを見た時は、目を疑いましたよ! なんでここに!?」
「ま、お前の親父さんの影響があるかもな。良い親父さんだったよな。俺、両親いなかったからちょっと羨ましくってさ」

だが最後の言葉は、それまでの嫌味の含んだ言い方とは違っていた。むしろ懐かしそうに、どこか惜しそうに、ユーリは両腕を頭の後ろで組みながら言った。

だが自身の父が話題に出た途端、フレンから勢いが消えた。

「……父の話は止せ」

それまでとは違う、曇った表情と声。顔を背け、静かにユーリに言った。その様子にユーリは首を傾げ、疑問を抱いた瞳でフレンを見つめた。

「そこの四人。それ終わったら、隊長の部屋へ行け」

その時、廊下の角から顔を覗かせたエルヴィンがユーリ達に声をかけた。

「カンカンだぜぇ?」

そして最後に口元を緩ませて、少し余計な一言を残して彼は姿を消した。

「何でだよ! 何も悪いことなんてしてねぇだろ!?」
「あんたね! ここは騎士団なのよ! 規律ってもんがあんの! あ〜、あんたらへの監督能力が問われるぅ〜!!」

頭を抱えながら叫ぶヒスカ。頭が痛いとはこのことだろうと、彼の教育係になってから何度思ったことだろう。

しかし、ぼやいたところで何も変わらない。意を決して、隊長のもとへと向かうのであった。


***



「酒場で乱闘なんて、ベタなことしやがって」

隊長室で四人を迎えたのは、欠伸をしながらそう切り出したナイレン、そしてその横に静かに立つクレイの二人だった。エルヴィンの言葉とは違い、さほど緊張感のない空気が隊長室を包んでいる。それでもユーリを除く三人は、申し訳なさそうな顔をしてナイレンの前に並んでいた。

「街の外はめんどくせぇことになってんだ。街の中で面倒起こすなよ」
「あいつらがいい加減なことすっからだよ!」

ナイレンは変わらず、面倒そうに説教を続ける。

だが、その言葉に反発してユーリが大声を上げた。

「爺さんの金巻き上げただけで、途中でほったらかしにしたんだぞ? あんな連中許せるか!」
「なるほどな。ま、俺でも殴ってたかな、そりゃ」
「え?」

自分に非はない。

そう言い張る彼に、隣に立つ三人は呆れた眼差しを向ける。

しかし、ナイレンはユーリの話に黙って耳を傾けると、それまで横向きにしてかけていた椅子を正面へと戻しながら、騎士団の隊長の言葉とは思えない発言をした。それにはユーリも予想外だったのか、目を丸くして驚いた様子を見せた。そんな彼へ、ナイレンは言葉を紡いだ。
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