TOV The First Strike 〜重なる3本目の道〜
□おまけ
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「なぁ。お前ら、やっぱ付き合ってんのか?」
「はぁ!?」
ある日の夜。
パブで飲んでいたナイレンは、隣に座る二人――クレイとユルギスに突然尋ねた。おかげで、クレイは口にしていたお酒を気管に流し込んでしまって咳き込んでいるし、ユルギスは赤みを帯びていた顔がさらに真っ赤になった。
「だって、そうだろ? 表向きは副隊長に隊長補佐だなんて間柄だが、それにしてはプライベートでこうやって飲みに誘う仲なんだしよう」
ナイレンは若者二人の反応などお構いなしに、そう言いながら笑ってワインを一口飲んだ。
確かに彼の言うとおり、ユルギスとクレイは隊の中でも特に仲が良かった。だが、それは傍から見れば男友達のような付き合い――クレイを男だと思い込んでいる隊員がほとんどであるからなおさらである――で、ナイレンが思うような関係には到底見えない。
面白がっての発言だろう。ユルギスはそう思い、ため息を吐いた。
「そんなわけないじゃないですか……」
「そうかぁ? もしそうだったら、クレイの親としてガツンと言っとこうかと思ったんだがなぁ」
(親父!!)
いたずらっ子のような笑みを浮かべるナイレンに、クレイは手にしていたグラスを強くテーブルに叩きつけて抗議した。冗談はそれくらいにしてくれというように、藍色の隻眼がナイレンを睨みつけている。
ナイレンはそれを見て、面白くねぇなと呟きながら残りのワインをぐぐっと飲み干した。
「……ったく。いい年だっていうのに、少しはそういう話ねえのか? ちっとはシャスティルとヒスカを見習ったらどうだ?」
ナイレンは言いながら、ウェイトレスに空になったグラスのお代わりを頼んだ。
彼の言う赤毛の双子騎士は、与えられた任務はきちんとこなしながらも、年頃の女の子らしく恋愛にも興味を示している。休憩の時に理想の男性像について語っていたところを見かけたこともあった。
「クレイがそういうことに夢中になってる姿なんて、想像できませんよ……痛っ!」
そんな双子に交じって恋愛トークをしているクレイを想像したのか、ユルギスは小さく身震いしてグラスを口にした。
途端、後頭部に強烈な一撃が飛んできて、ユルギスはテーブルに向かって顔面から突撃しそうになった。慌てて顔を上げようとすれば、強い殺気を隣から感じた。
(……おい。それ、どういう意味だ?)
声は出ていない。
だが、普段から言葉なくして彼女の意思を理解することができない者でもわかるほど、クレイの顔にはそうはっきりと言葉が刻まれていた。それくらい、クレイの瞳はひどく冷たかったのだ。
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