Tales of the Tempest もう一つの魔法

□第七章
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辿り着いた港町『マウベロ』。ロイン、ティマ、カイウス、ルビアの四人は宿屋にいた。ラミーはマリーとチャークの家族を探すため、この町の行商を仕切るギルドの元へ足を運んでいた。ついでに仕事があれば仕入れてくるつもりらしく、宿屋で待つように言われたのだ。

「あ〜!疲れたよ〜!」

ティマはふかふかのベッドに倒れながら大声をあげる。確かにいろんなことがあり、皆疲れを感じていた。それでもティマに比べると、カイウスやルビアは疲れているという表情を見せていない。旅に慣れているためだろう。そのまままぶたが重くなり、もう少しでティマが眠りについてしまうだろうと思われた刹那、部屋の扉が勢いよく開き、ラミーが上機嫌で入ってきた。

「戻ったよー。チャーク達の家族は無事に見つかったよ。」
「本当!?」

それを聞いたティマは飛び起き、瞳を輝かせた。ラミーは頷くと「さて」とカイウス達に視線を向けた。

「出発は明日の朝。そこからしばらくは船旅を楽しんでもらうよ。」
「遠いのか?」
「そんなこと無いさ。ただ、これから行く先はちょっと訳ありでね。わざと遠回りして、あんたらに場所が把握できないように進む。いいね?」

その言葉に四人は頷いた。それを見ると、ラミーは満足げに笑顔を見せ踵を返した。

「よし!それじゃ出かけてくるな。」
「え?何処行くの?」

目を丸くしてティマが聞くと、ラミーは部屋を出てすぐところで振り返って答えた。

「船に戻って整備とかしないとね。ギルドの首領(ボス)ってのはいろいろやることがあるんだよ。じゃな!」

ラミーはそれだけ言って、部屋の戸を閉めていった。残された四人は、ただ呆然としているだけだった。

「…台風みたいな奴だな。」

ロインが思わず呟き、三人は首を振って同意した。
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