side story1

□バレンタイン騒動
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うーん、今日も朝日が眩しい。

朝もやに負けることなくさんさんと射している。

そこに私を呼ぶ声が響いた。



「愛華姉ちゃん!
今日はバレンタインでしょう?
だからコレ!」



細長い木箱を渡してニコニコとしている。

早く開けてとその視線に急かされフタを開けた。



「…これ、ネックレス。」

「ムウ様に習って作ったんだ。
愛華姉ちゃんにプレゼント!」

「…貴鬼、すっごく嬉しいっ。
ありがとう。」



ぎゅっと抱きしめると照れて笑いながらも腕を回す。

頬っぺたにキスすると茹蛸のようになって俯いた。



「これね、ムウ様やシオン様に相談したんだ。
2人のとお揃いになってるからみんな大事にしたげてね。」



こそりと囁くその後ろにムウとシオンの姿が見えた。

にこりと笑ってムウも箱を差し出した。



「愛華、私からはこれを。」

「あ、ピアスだ。
細工が凝ってて可愛い。」

「愛華をイメージして作ったんですよ。
気に入ってもらえたなら良かったです。」

「うん。
着けてみても良い?」

「ええ、是非。」


「――ん、よし。
どうかな?」

「よく似合ってますよ。」

「えへへ、ありがとうムウ。
大事にするね。」



満足そうに頷いて耳からピアスに向かってなぞる。

良い仕事をした、と笑って言った。



「愛華よ、ワシからはこれを贈ろう。」

「それ…櫛?」

「髪を留める櫛じゃな。
着けてやろう。
こちらへ来い。」



ひらひらと手招きする。

素直にシオンの元へ行くと撫でるように髪をかきあげられた。




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