side story 3

□僕の産まれた日
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「―――あ、瞬、それって…」

「ふふっ、愛華さんからの誕生日プレゼントだよ。
良いでしょ?」



僕は自慢するように星矢や氷河にそのチケットを見せた。

一月前に見た、兄さんの誕生日に贈られたものとそっくりなそれ。

愛華さんの『願いを何でも一つ叶えちゃうぞ券』である。

今日の誕生日パーティーに愛華さんが僕にくれたものだ。



「やっぱり瞬もそれが良いって言ったのかー。」

「うんっ。
だってその方が普通に物を貰うより楽しいでしょう?」

「そうだな。
瞬は何に使うか決めたのか?」

「決めたよ。
次の愛華さんの休暇に一緒にデートするんだ。」

「「デート!?」」



特に氷河が驚いた様子で叫んだ。

半ば悲鳴に近かったかもしれない。

星矢の方は目をキラキラさせて聞いてきた。



「良いな!
愛華さんとデートってすっげぇ楽しそうだよな。」

「うん。
星矢もそう思う?」

「あぁ、もちろん。
俺も誕生日がきて、チケット貰ったらそうするつもりだもん。」

「星矢まで?!」



氷河が信じられないものを見るように僕達二人を見る。

いつも思うけど、氷河ってちょっと大袈裟だ。

そんなに驚く事でもないと思うんだ。

僕や星矢、愛華さんは同性と出掛ける時だってデートって言うし。



「映画観たり、買い物したりするんだ。」

「映画かー。
定番っぽくて良いな。」

「でしょでしょ!
星矢達はアクションとかSFじゃないと付き合ってくれないし。」

「瞬はファンタジー好きだしな。
一人で映画ってのも味気ないし、愛華さんならそういうの好きそうだし。」

「愛華さんと映画…」

「氷河、いつまで放心してるの。
面倒な男は嫌われちゃうよ。」

「うぐっ、」

「本気のデートじゃないんだからさ。
もっと堂々としていろよ。
愛華さんってば沙織さんと出掛ける時だってデートだぜ?」




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