side story 2
□僕と彼女と兄さんと
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「はい、愛華さん。
プレゼントだよ!」
「……え?」
手に乗せられた小さな箱にきょとんとする。
その箱と瞬君を交互に見ていると、先に彼が口を開いた。
「今日、僕の誕生日だから。」
「え、いや、うん。
もちろん知ってるよ?
今日瞬君はプレゼント貰う側だよね?」
「えへへ…
実は僕、ちょっと前に聞いたんだ。
誕生日を祝われるんじゃなくて、逆に誕生日の人が周りの人にいつもありがとうって感謝する国もあるんだって。
僕、今年はそうしようと思って。」
「だから、これ?」
「うん。
大した物でもないけど、受け取ってくれると嬉しいな。」
「…うん、ありがとう。
瞬君、生まれてきてくれてありがとう。」
「えへへへへー。
やっぱり嬉しいな。
僕、愛華さんだーい好き!」
「私もよ、瞬君。
まだプレゼント、配ってくるんでしょう?
終わったらまたおいで。
その頃にはケーキの準備も終わってるだろうから。」
「うんっ。
それじゃあいってきまーす!」
「あぁ、驚いた。
もう出てきて良いよ、一輝君。」
まだ多少の警戒をしながら一輝君がドアを開けて、キョロキョロしながらこちらへ来た。
「…良い弟を持ったね。」
「当然だ。」
「ふふっ、じゃあケーキ仕上げちゃおうか。」
「あぁ。
なぁ…」
「んー?
どうかした?」
「瞬は……喜ぶだろうか?」
「喜ぶに決まってるよ。
お兄ちゃんでしょ。
自信を持って。」
「そう、だな。」
クリームを泡立てる一輝君の顔は、きっと照れているのだと思う。
可愛い兄弟だなと思いながら飾りの苺を取り出した。