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□50万call企画
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――今日こそは…!


握り締めた手のひらの箱がやけに重く感じる。

決意を込めた箱の中身は酷く俺に不釣り合いに輝いていた。





〜大好きだ、バカヤロー〜





「――音夢!」

「おはよう、デス。
朝から教皇宮に来るなんて珍しいね。
今日は非番だったでしょう?」

「お、おぅ…
ちょっと用事があってな。」

「ふぅん。
何かは知らないけど頑張ってね。」

「あぁ。

じゃなくて音夢。」
「何?
私これから会議なんだけど?」

「……後、で…その……」

「すぐ済む用事?
それなら今聞くけど?」

「いや…すぐは済まない、と思う…」

「?
そう?
だったら夕食の後かしら。
今日は夕方にも打ち合わせが入っているから。」

「夕方?!
マジか!」



オイオイ…

こんなに落ち着かない気分で夕方まで過ごせって?

どんな拷問なんだよ。



「大マジよ。
って、何この手。」

「音夢…頼むから今日、これからのスケジュールを白紙にして俺にくれ。」

「馬鹿言わないでちょうだい。
そしてこの腰に回した手を離して。
外でベタベタしないでって何度言えば分かるの。」

「後生だ。
頼む!」

「何度も甦ってる人間が言っても効力ないわよ。
仕事が終わってからなら幾らでも付き合ってあげるから。」

「今!
3時間!いや1時間で良いから!」

「会議を1時間も遅らせられないの。
子供みたいな駄々捏ねないでよ。」

「頼む!」

「離してってば!」

「嫌だ!」

「人に見られるでしょ!?」

「人が見てないなら良いのかよ!」

「そう言ってるでしょう!!」

「………え?」



顔を真っ赤にして音夢が俺を睨む。

…ヤベェ、メチャクチャ可愛いんだけど。

っていうか何だ。

人が見てないならイチャイチャべたべたしても良いのかよ?

いっつもあんな嫌そうにしてたのは照れてただけ?

うわぁ、うわぁ…!




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