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□構ってよ。
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―――今日は1月12日。

日付の変わる前から幼馴染みで悪友のデスマスクとアフロディーテが俺の宮で夜通し飲み明かしている。



「……」

「どしたァ?
冴えねぇ面しちゃって。」

「聞いてやるなよデスマスク。
せっかくのバースディに隣にいるのが彼女ではなく私達なんだ。
そりゃあ気も滅入るってものだろう!」



アハハハハ!と高らかに笑うアフロディーテにつられてデスマスクも大きな声で笑う。

人が気にしている事をつるっと言うのは、遠慮のない証しなのだろうが。

まぁ、付き合いもそこそこ長いからな。

……………たまに遠慮がなさ過ぎる時もあるが。



「それにしても恋人のバースデーより仕事を優先するなんて、音夢らしいと言うか何と言うか…」

「日本人の勤勉さってやつには脱帽するね。
私ならば前後合わせて3日は有給を取るね。」

「…お前まだ有給残ってたのか?」

「もちろん。
計画的に取っているからね。
どこぞの蟹と違って。」

「仕方ねぇだろ。
それこそバースデーだから一緒に居たい〜、なんて駄々こねられるんだからよ。」

「デスマスク、お前は年に何回恋人のバースディがあるんだ。
すぐにおばあさんになっちゃうよ!」

「ぶっ、」

「とっかえひっかえしてるからだ。
この節操無し。」

「ちげぇし!
とっかえひっかえじゃねぇよ。
常に新しい恋だっつーの。」

「ぶはっ、どんだけ短い周期でフラれてんの?
不憫〜。」

「うるせっ!
いい加減にしねぇと泣くぞ!?」



ぎゃあぎゃあと騒ぎながら酒をあおる。

しかしコイツらが騒がしくしているお陰で多少は気も紛れるってものだろう。


…悔しいから絶対に言ってはやらないけど。




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