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□素顔の君に会いたい
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「えー、何で?!」

「レグルス、君はまだ若い。
この先何十年も一人を愛し続けられるとは思わないよ。
君はきっと私より素敵な人に会う。
その時になって私の素顔を見たことを後悔する。
若さ故の勢いはここでは発揮しない方が良いね。」

「むぅ…
俺が音夢の顔を見て後悔することなんてないよ。
だってこの先一生掛かっても愛しきれない自信あるし。」

「は………?」

「だってさ、今でさえこんなに音夢の素顔が見たくて、愛しくて仕方ないのに。
途中で飽きちゃうなんてありえないよ。」

「…………」

「だから一緒にごはん食べよう、音夢。」

「………とりあえず飯作りに行こう。」

「本当?
やったぁ。
音夢と一緒に食べるの初めてだから嬉しいな。」

「作ってあげるから一人で食べてくれ。」

「えぇ〜〜!?
何でっ、良いじゃん!」

「何でって…………
私にも準備というものがある。」

「準備?
仮面を外すだけなのに??」



嫌がられていないと分かったけど、音夢の歯切れが悪い。

多分嫌われていないんだろうけど…


分からなくて覗き込むと顔を逸らされた。



「任務帰りなんだっ。
その、汗もかいているし…あんまり綺麗じゃない、と…思う…」



顔はまだ見えていないハズなのに、音夢が顔を真っ赤にして照れて見えた。

階段を下りるスピードも早くなっている。



「―――――やっぱ音夢大好き!」

「えっ、ちょっ?!
レグルスっ!!」



たまらなくなって音夢に抱き着く。

いつもなら余裕で抱き留めてくれるんだけど、今日は足元が覚束ない。

それが階段のせいか、聖衣ボックスのせいか、それとも別の何かのせいか…

時間はたっぷりあるんだ。

じっくり音夢に聞くことにしよう。






素顔の君に会いたい
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