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□素顔の君に会いたい
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名前を呼ばれて振り返るとさらりと黒い、流れるような髪が見えた。



「音夢っ、いつ任務から帰ってきたの?」

「さっきだよ。
報告が終わったからこれからごはん。
レグルスは訓練?」

「今さっき終わった!
ね、一緒に食べよう。」

「一緒にとか言いながら作らせる気だろう?」

「ちゃんと手伝うよっ。
だって音夢が作るの美味しいもん。」

「作るのは構わないが一緒には食べられないじゃないか。
私だって出来立てを食べたいからな。」



どうしようかなー、と音夢は階段を下りながら言う。

それに倣って俺も隣を歩いた。



「どうして?
食べれば良いじゃん。」

「仮面があるだろうが。
さすがの私も着けたままでは食べられないぞ。」

「俺は気にしないよ?」

「掟だ、掟。
知っているだろう?」

「もちろん知ってるよ。
音夢の素顔見てみたいし、良いんじゃない?」

「……レグルス、君はシジフォス様にどういう教育を受けたんだ。」

「聖闘士になる教育!」

「よし分かった。
もう一度最初から教わり直しておいで。」

「えー。
良いじゃん。
俺音夢のこと好きだよ。」

「…………ダメ。」



たっぷり数拍置いて音夢が俺の方を向く。

いつもの飄々とした、ちょっとお姉さんみたいな声とは違って低めだ。




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